2023-01-01から1年間の記事一覧
私は、欲しいものしか買わない派である。10,000円のものが100円になっていても、いらないものは決して買わないのだ。 例えば、使用済みのパンツである。どんな美女であっても私の好みのタイプでなければ絶対に買わないのだ。嘘だと思うのなら、私の前でパン…
おお、見事な立ちこぎじゃないか。 近所にあるサイクリングロードである。小春日和で鼻歌などを歌いながら自転車を走らせていると、男の自転車に追いついた。30代後半といったところか。何の特徴もないオッサンなのだが、ただ一つ、その男は立ちこぎをしてい…
私がSF小説にさよならを言いかけたのは、小学5年生くらいだったと思う。 当時私は、イーイースミスとかいう外国人の書いた「スカイラーク」シリーズという脳天気な宇宙ものにはじまり、「フェッセンデンの宇宙」や「宇宙知性チョッキー」など、それまで読んで…
以前、こんなTweetが話題になったことがある。 「昔クリエーター仲間で、1日8時間作業する人と、8時間遊んで1時間しか作業しない人がいたんですけど、成功したのは後者でした。いいアイデアって膨大なインプット無しには出ないんだなぁ……と思いました」 思わ…
私は問いたいのですよ。 「君は、心の底からブルーベリーの収穫がやりたいのか?」と。 オーストラリアでブルーベリーの収穫をやれば、月収50万円という記事をネットで見て、私は疑問に思ったわけです。まあ、確かに日本の賃金は安い。ただ、仕事というもの…
出社してすぐに、エレベーターでオッサンと一緒になった。 同じ階に事務所を構えるオッサンである。なんとか法律事務所とネームプレートが入っているので、弁護士とか司法書士とかだろう。オッサンに興味はないので、詳しいことは知らない。 おれは危機管理…
正直言うと、イスラム文化は苦手である。 まあ、一番苦手というか、はっきり言って嫌いなのはフランスであり、次に嫌いなのは中国と韓国であり、さらにはドイツもアメリカもイタリアも嫌いで、好きなのは日本だけという偏狭な人間である。 ついでに言うと、…
いやあ、むかしはひどかったなあ。 みんなタバコを吸っていた。駅のホームはもちろん、電車やバスの中でもプカプカすっていたのである。職場でもみんな吸っているものだから、部屋全体が煙まみれで、一番奥の部長席などかすんで顔が見えなかったほどだ。吸っ…
「本当に申し訳ありませんでした」 「まあね、うちも詐欺まがいの広告を何度も出してるから、あまり偉そうなことは言えないんだけどね。ただ、君のペロペロ行為で、ものすごく損害を被ったのは事実なんだよ」 「はい。それは本当に申し訳ありませんでした。…
ええ、「名は体を表そう協会」の会長、山田はじめでございます。名は体を表すべき、そう主張してはや3年。まだまだ道半ばでございます。 この間も、わたくし、このようなことを言われました。 「いいかげん、ぼくの名前をきちんと覚えてくださいよ。もう一年…
「爺、なにをニヤニヤしている」 「坊ちゃま、実は立憲民主党が一般人の方を刑事告発したということで。その理由が面白うございまして、ついニヤニヤとはしたない真似をしてしまいました」 「なに!? 一般人を刑事告発だと。ただ事ではないな。また、暗殺計画…
午前二時に尿意で目が覚めた。 寝たのは十二時くらいである。二時間持たないほど、膀胱の性能が落ちているらしい。コーヒーもひかえめにし、もはや寒くもないのに情けないことだ。あと十年したら、さらに性能が落ちて一時間おきにトイレに起きるのではないか…
ご存知だろうか? 人間というのは、不思議なものだ。 それまで何も感じなかった行為に対し、何かをきっかけとして急に腹立たしくなったりする。カチンときたり、イライラしたり、心のどこかにトゲのように刺さったりして、それが嫌悪感につながり、例えば夫…
「爺、なにをニヤニヤしている」 「はあ、坊ちゃま。先ほど大相撲中継を見ておりましたら、デビ夫人が観客席におりまして」 「デビ夫人? 誰だ、それは」 「高齢のテレビタレントでございます。わたくしも詳しくは存じませんが、デビという名前の殿方とご結…
パッとしない男が、パッとしないリビングのパッとしないソファに座っている。はっきり言って、顔は不細工である。体型も小太りで身長も低い。 非常に残念だ、と彼は考えていた。福山雅治の顔で生まれてきたらどんなに幸せだったか、と毎日、いや食前食後に考…
"> おれは、穴を掘り続けていた。 "> なんの穴かというと、おれの墓穴なんだそうだ。つまり、おれはこのあと殺されて、自分で掘った穴に埋められるのである。映画で見たシーンのような気がするが、タイトルは思い出せない。 "> おれの後ろには、若いくせに笑…
某企業からの依頼で新しい雑巾の商品企画を考えていた。 クソ。なぜ、私のような一流のプランナーが雑巾の企画を考えなければならないのか。不条理この上ない。 私にふさわしいのは、大都市のランドマーク計画やプレステ6用のゲーム企画であるべきで、せめて…
今は、迷いの時代である。誰も彼もがどの道を行くか迷っている。ほら、前から近づいてくるあの男も。 「あ、すまんけど。北田病院は、どっちやろ?」 私は、こっそりとため息をつく。なぜ、「北田病院をご存知ですか?」と尋ねることができないのか。私が北…
「わたしの名前? 夏子よ」と彼女は、少し笑みを浮かべながら言った。波の音と彼女の声が重なり合い、彼には心地いい音楽のように聞こえた。「でもね」と彼女は、笑みをさらに深めながら冗談めかして言った。「秋には秋子だし、冬は冬子、春になれば春子なの…
死んだ者しか知り得ないことだが、あの世は実に騒々しい場所だ。あたり一面霊魂だらけ。そして彼らの悲鳴だらけなのである。 なぜ、悲鳴を上げているかというと、それはひどい苦痛を感じ続けているからだ。どうやら魂が肉体から離れる際にとてつもない痛みに…