場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

「オリエント急行殺人事件」を見て、その犯人にびっくり仰天した(嘘)

私は、ネタバレが大好きである。

「シックスセンス」は映画館で見たのだが、レビュー記事に全部ネタバレして随分と非難された。腹が立ったので、それ以降の各記事ごとに「ブルースウィリスは実は幽霊だったんだが」と枕言葉にしていたほどである。

従って最近の「ネタバレ注意」などと書いてある記事には、だったら最初から書くなと唾棄している。そもそも見ていない映画の記事を読むやつが馬鹿なのだ。当たり前ではないか。

ただ、さすがに「猿の惑星」はネタバレから除外されるのではないか。「実は地球の未来の姿だった~」と言っても、怒る人はあまりいないだろう。そもそもDVDのパッケージには、ラストシーンの自由の女神が堂々と描かれているのだ。最初からネタバレである。

それと同じ理由で「オリエント急行殺人事件」もネタバレを気にする人はいないだろう。乗客全員が犯人だったというのは、誰もが知っている。もし、アガサ・クリスティの原作を読んでいないとしたら、それは人間ではなく地底人だということだ。早く地底に帰りたまえ。

そんなわけで「今さら、オリエント急行殺人事件か」などと鼻で笑いながらAmazon Prime Videoを見たのだが、いや、あなた、意外と面白かった。続けて「ナイル殺人事件」も見たほどである。こちらもなかなかの出来だった。

最近のハリウッド映画は、退屈で途中で寝るのが常だったのだが、この映画では一睡もしなかった。荒寥とした大地を行く機関車をはじめ、なかなか見事な映像である。もちろんCGを多用しているのだろうが、私の目は節穴だからさほど不満はない。

面白かったのは、ポワロの吹き替えを草刈正雄がやっていたことで、私の好みの声なので違和感なく見られた。若手俳優の下手くそな吹き替えは大反対だが、草刈正雄ならOKだ。例え年寄りでも、私は本格派イケメンの味方である。

で、他にポワロものはないかと調べてみたら、「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」というのがあるではないか。私が好きなミシェル・ヨーが出ているぞ。全然、知らなかったのである。ヘンテコなマルチバースものばかり宣伝しやがって、と私はハリウッドに向かって唾棄したのである。