場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

バージョンアップ版(プラチナ)が35,530円!? 「一太郎2024」の値段にびっくりして死にかける。

私は、こだわらない男である。 

仕事で使う筆記用具でさえこだわらない。かつては、私も原稿用紙に手書きだったのだが、万年筆だろうがボールペンだろうがシャーペンだろうが書ければ何でもいいのである。モンブランの太軸? それで素晴らしい文章が書けるわけではない。弘法も木から落ちる。要は才能の問題なのだよ。

で、本来ならパソコンを使うようになってもこだわらないはずだったのだが、あなた、何故かやたらとこだわるようになった。もともとオタク的気質だったのだろう。いったいワープロソフトに幾らつぎ込んだことか。

松、新松、一太郎、ORGAI、Nisus Writer、EGWord、VZエディタ。私は、MacもWindows(最初の頃はMS-DOS)も使っているから、ワープロソフトも二倍必要だったのだ。ああ、要は才能の問題だというのに、なぜあんなにも無駄な金を使ってしまったのか!?

中でも一太郎は、1985年の初代からず~っと使っているのである。年末になると「新しい一太郎が出まっせ」とパンフレットが送られてくる。私たち一太郎ユーザーは、これを「お布施」と称して、さほど代わり映えのしないバージョンアップに大枚をはたくのだ。

そんな私も、「一太郎2021」を最後にしてバージョンアップをしていない。このバージョンは、ATOKが付属する最後の一太郎になりそうだったので、仕方なく購入したのだ。

さて、今年も販売元のジャストシステムからメールが送付されてきた。「一太郎2024」のURLが貼られていたのでクリックしてみたら、なんじゃい、バージョンアップ(プラチナ版)が35,530円である。新たに買うなら47,300円である。格下の通常版ですら、ただのバージョンアップが13,530円である。頭がおかしいんじゃないのか? 今回のバージョンアップも見送り決定なのだ。

しかも、日本語変換ソフトのATOKは、以前のように付属していない。サブスク化して月額330円なのだ。既存のユーザーの足下を見やがってと怒り心頭である。はっきり言っておくが、ATOKが優れていたのは過去の話だ。今では、Googleの日本語変換の方が優秀なのである。さらにGoogleは無料である。誰だってGoogleのを使うのだ。

この高価格化は、宿敵Wordの真似をしたのかもしれないが、すでにMicrosoftは、WordのWeb版を無料で使えるようにしている。どの端末からもアクセスできて、保存・同期もできるのである。や~い、悔しかったら、一太郎もやってみろ。

そもそも私は、一太郎をまったくと言っていいほど使っていないのだ。動きは遅いわ、(私にとって)無駄な機能は多いわ、ケバい外観だわ、私が理想とするワープロソフトの対極にあるといっても過言ではない。惰性で買い続けていただけなのである。

ちなみに上の画像は、私のパソコンにインストールされている「一太郎2021」のものである。一番ハデハデの状態だ。右上の「感太」というのは、いろんな言葉や画像を出すことで、インスピレーションを閃かせてくれるらしい。「ビンビン」とか「ドピュッ」とかの助平バージョンも出してくれると面白いのだが。さらに、この部分にYouTubeやAmazon Prime Videoの動画をはめ込めるようにしてくれると、仕事と動画鑑賞の同時進行がはかどるんだがなあ。

思えば、製造販売元の「ジャストシステム」がMicrosoft帝國のWordにコテンパンにやられて業績が悪化し、30代で家が建ち40代で墓が建つと言われる企業「キーエンス」配下となったのだが、もはやかつての技術者集団ではなくなったのだろう。いやあ、パソコン黎明期からオタクだった私には極めて残念である。

まあ、あなた。やはり、長文を書くならシンプルかつ軽くて柔軟性のあるエディタが一番なのである。今、私は、無料で使わせていただける「Mery」というエディタをよく使っている。背景色や文字色のバリエーションが各種セットされているので、簡単に好みの見た目に変えられる優れものだ。

そう言えば、この間読んだ花村萬月「たった独りのための小説教室」には、「WZエディタのバージョン6」を使っていると書いてあったなあ。これは有料だが、最新版は8,580円とエディタにしては高価である。また、原稿執筆に特化した「WZ Writing Editor」なら5,280円だが、それでも高いな。まあ、一太郎に比べれば格安だが。

一応、原稿用紙に縦書きも違和感なくできるので、そういうのが好みの人は「WZエディタ」がおすすめである。完成度が高く、見た目もスッキリとしている。あと原稿用紙に縦書きなら、「一太郎」も可能だ。原稿用紙のタイプも各種用意されている。かゆいところに手が届きすぎるほど、機能は豊富なのである。

今日も私は、「Scrivener」やら「Scapple」やら「O's Editor2」などの執筆用ソフトをいじっているのだが、肝心の執筆はさっぱりなのだ。各種ソフトの設定をいじっているだけで愉しくて、すぐに時間がたってしまうのである。もしかすると執筆には向いていないのかもしれんなあ、などと思い始めている。

 

 

ロジクールSIGNATURE K855というキーボードを購入し、思わず自分を叱咤する。

「自分へのご褒美」というのが、ものすごく嫌いである。正確に言うと、そのセリフを吐く人物が嫌いである。さすがに男でそんなことを言う奴はいないと思うが、もしいたとしたら、今すぐ前に出たまえ。ぶん殴ってやる。

さて、昨日のクリスマスに、私は新しいキーボードを手に入れたのである。季節柄、偶然にも自分へのご褒美となってしまい、実に腹立たしい。自分で自分を殴ってやりたい気分だ。私は、筋金入りの仏教徒である。本来は、クリスマスなんぞに浮かれる男ではないのだ。

手に入れたのは、ロジクールのK855というメカニカルキーボードである。赤軸、無線により三台までの端末に接続可能、テンキーレスの割とコンパクトなキーボードだ。一番大きなポイントは、乾電池式という点である。

自分へのご褒美も嫌いだが、充電式というのも嫌いなのだ。スマホ、スマートウォッチ、掃除機、電動歯ブラシ、電気シェーバー、今の私の生活は充電に支配されている。現に、つい先ほどスマートウォッチがブルッと震えて「おいコラ、はよ充電せんかい」とせかしてきた。エサを欲しがる犬と同じである。あさましい連中なのだ。

そんな時代にあって乾電池式というのは、見上げた心がけだ。メーカーのデータだが、単4乾電池二本(製品に付属)で最長三年ほどもつらしく、以前からこのキーボードには注目していた。だが、私がほしいシックなグラファイト色が「通常1~2ヶ月以内に発送します」となっていて、そんなに待てるか! 他の配色は即日配達なのだが、グラファイトだけは時間がかかるのである。

ところがなぜか24日になると、在庫が「あと4台」と表示され、翌日配達となっていた。見ているとそれが「あと3台」になり、あわてて「今すぐ買う」をクリックして購入したのである。今、確認してみると、また「通常1~2ヶ月以内に発送します」と表記されていたので、すぐに在庫が切れたのだろう。

今、この文章もK855で打っているのだが、打ち心地はまあまあである。赤軸にしては音が大きいのだが、このくらい音がした方が「仕事してまっせ」とアピールできてよろしい。11,000円とメカニカルキーボードとしては安い方だが、それでも私としては散財だ。在庫が減っていくのを見て、思わず買ってしまった自分が情けない。

まあ、ちょうどクリスマスだったし自分へのご褒美ということでよしとしようなどと考えたのだが、いやいやいや、ご褒美と言うほど、私は仕事もしていないし、ボランティアもしていないし、ただ読書とAmazon Prime Videoとキャラメルコーンをむさぼる毎日である。そもそも、つい先ほど「自分へのご褒美」は嫌いだと書いたばかりではないか。ああ、ご先祖様に申し訳ない。

この腑抜けが、と私は自分を叱咤したのである。

ちなみにキートップの白い文字が目立ちすぎるので、カナ部分を別のキーキャップと交換した。地味なツートンカラーになったが、私のような地味なジジイにはピッタリかもしれんなあ。

 

 

 

「THE BATMAN」を見る。いや、長過ぎだろ。

年末年始は、テレビが絶望的につまらない。普段もつまらないが、その百倍くらいつまらなくなる。見た分だけ腹が立ち、血圧が上がって寿命が縮む。おそらくAmazon Prime Videoがなければ、去年かおととしの年末に死んでいるだろう。ありがたいことである。

さて、そのありがたいAmazon Prime Videoで「THE BATMAN」を見たのである。確かバットマンというと、前にスーパーマンと戦っていたと思うのだが、この作品のバットマンなら、数秒で殺されているはずだ。大変に弱い。いや、普通の悪人よりかは強いのだが、スーパーヒーローとまでは言えないのである。まあ、バットマンになってまだ二年目という設定だから、弱くても仕方がない。

ただ、その分リアルであり、手すりから落ちそうになるだけでヒヤヒヤするのだ。人間的であるせいか軽い恋愛要素もあったのだが、違和感なく見ていられた。恋愛相手はキャットウーマンで、ゾーイ・クラヴィッツが演じている。ショートカットで唇がややぶあつく私の好みである。ブチューッとキスしてくれんかなあ。

前知識なしで見たんだが、あれえ、2時間を過ぎても終わりそうもない。結局、見終わったのはほぼ3時間後である。途中で「うん、これでThe Endだな」と何度も思ったのだが、その都度、新しいシーンが映し出されるのだ。いやいやいや、あなたね。さすがにこの時は、血圧が180-110に上昇したのである。

クリスチャン・ベールの三部作は私も大好きで何度も見返しているんだが、この「THE BATMAN」もそこそこ好きである。特にバイクは水平2気筒のBMWぽいバイクで市販されていても不思議ではないようなものだし、バットモービルもマッスルカーにジェットエンジンを搭載したような感じである。最近のバットモービルは空も飛んでしまうので、このくらいのリアルさは私には好ましい。

もう一回見ようかと思うのだが、なにしろ長いからなあ。ジジイにとっての3時間は、そこそこ貴重なのだ。

まあ、見ればゾーイ・クラヴィッツがキスしてくれる夢を見られるかもしれんしなあ。しかし、ショートカットだというだけの共通点で、辻元清美が「キスしたろか~」などと唇を尖らして出てくる可能性もゼロじゃない。それは、地獄的悪夢だよなあ。う~ん、と大変な悩みどころである。

 

 

 

(全部ネタバレ注意)「ハドソン川の奇跡」は、実話を元にした映画であるが、わりと嘘もあるらしい。

あれは、驚いたなあ。飛行機に乗っていてジェットコースター状態になったのである。台風の影響だった。

いきなりドーンと落下した。軽い悲鳴の後、乗客から照れ隠しの笑い声がもれた。だが、そんな落下が繰り返されると、すっかり余裕がなくなり口から出るのは本気の悲鳴である。一瞬に落下して、体が宙に浮くのだ。ベルトをしていなければ、天井に張り付いていただろう。

斜め前のオッサンは悲鳴を上げた直後に落下して舌を噛み、その隣の婆さんはへそを噛み、私は隣席の美少女の首を噛み、まさに地獄絵図である。

乱気流から何とか逃れ、間もなく着陸とのアナウンスがあり、やれ嬉しやとホッとしたのもつかの間、高度を下げる飛行機の進路がどんどんずれていく。

いやいやいや、滑走路からずれてますがな、このままでは着陸は無理ですがなとハラハラしていたのだが、結局着陸できずに随分遠くの飛行場に変更され、タクシー代がひどく高く付いた。

飛行機とは怖ろしいものであり、環境少女グレタさんではないが、私もそれ以降飛行機に乗るのはやめたのだ。新幹線、万歳!

さて、Amazonプライムで「ハドソン川の奇跡」を見た。旅客機がハドソン川に不時着する話である。

一応注意しておくが、ネタバレがある。いや、全部ネタバレと言っても過言ではない。

そもそも勝手に人のブログを読んでおきながら「ネタバレやんけ。マナー違反や」などとほざくこと自体がおかしいのだ。見た映画について「ここがよかったよね」とか「まさかこんな展開とは予想もしなかった」と語ることが楽しいのである。まだ見てもいないのに、他人のブログを読むなど、これほど愚かなことはない。愚行というかキチガイ沙汰である。そんな知的レベルの低い人間は、読むのをやめてとっとと地底に帰りたまえ。

当ブログは、ネタバレ上等。「シックスセンス」の主人公は幽霊だし、「エスター」の少女は33歳のオバサンだし、「猿の惑星」は実は地球だったのだ~っ。

さて、「ハドソン川の奇跡」だ。

鳥の大群と遭遇し、エンジンが二つとも停止。管制官は、近くにある飛行場に着陸せよと命じるのだが、地上はビルが建ち並ぶ人口密集地であり、墜落は許されない状況である。パイロットは、飛行場までもたないと判断し、ハドソン川に着水することを選択する。

主人公のパイロット役は、トム・ハンクスである。あまり感情を見せない実直な男と言った役柄で、まあ、見た目のまんまだ。これがジャック・ニコルソンだとどう考えても途中でキレて無理矢理墜落させるだろうし、シュワルツェネッガーならドアをこじ開けて一人で脱出する。別の映画になってしまうのだ。やはり、キャスティングは重要である。

無事に着水し、一人の犠牲者も出さずに生還するのだが、もちろんそれだけではただの「奇跡」である。映画にはならない。

当然のごとく、英雄のはずの彼に危機が訪れる。

「お前、なんでわざわざ川に着水したんや。管制官は、近くの飛行場まで行け言うたやろが。さては、スタンドプレーに走りよったな。英雄になろうとしたんやろっ。乗客の命をさらすとは、なんちゅうことしよんねん。さらしてええんは、自分の金玉だけやろが~っ」

いや、ひどいものである。

さらにシミュレーター(操縦席を再現した乗り物で、外から見ると四角い箱が操縦に合わせて上下左右に動くやつ。フライトシミュレーターが好きな人間にとっては夢の装置)で当時の状況を再現し、飛行場まで行けることを証明してしまうのだ。主人公、危機的状況である。このままでは、ただの目立ちたがり屋の危険なパイロットという烙印を押されてしまう。

公聴会でも複数のパイロットによるシミュレーションが見せられ、いずれも飛行場への着陸が成功した。やはり主人公の行為は、無謀なものだったのか。

その時、トム・ハンクスが言った。

「今のシミュレーション、パイロットは、事前に何回練習しましたか?」

事故調査委員のオバチャンが、ちょっとためらったあと答えた。

「17回です」

私は、驚いた。このオバチャンは、アホか。練習してどうする? それでは、検証のためのシミュレーションにはならないではないか。事故当時の状況のままに再現するからこそ検証のためのシミュレーションである。

しかも、シミュレーションでは、鳥の群れに突っ込んだ直後から飛行場に向かって進路を変更しているのである。いやいやいや。それはおかしいでしょうが。状況をチェックし、分析する時間が含まれていないのだ。事故調査委員会の連中は、やっぱりアホなんやと私は確信した。

結局35秒後から回避行動を開始することになり、そのシミュレーションでは、どうやっても飛行場までたどり着けずに墜落するという結果になった。やはり主人公の行動は正しかったのである。

このあたり、事故調査委員会の連中がマヌケな悪役として描かれているが、それはあくまで映画上のことである。現実には、そんなことはなかったらしい。実際の公聴会はパイロットを責めることはなく、「パイロットに責任はなし」とすぐに結果が出たようだ。このパイロットは、最初から最後まで英雄扱いだったのだ。

まあ、結局は実話を元にしたフィクションということである。配給元は、誤解を与えないためにも「37%実話です」と正確に伝えるべきだな。

ハラハラしたり事故調査委員会に腹を立てたりして損をしたな、と私は思った。もし、当時の事故調査委員会の人に出会ったら、「いやあ、映画では悪役にされてしまってひどい目にあいましたね」と缶コーヒーの一本でもおごってあげたいと思う。

 

 

追悼、我が愛しのゲーミングキーボード

二年もたなかったなあ。愛用していたゲーミングキーボードが壊れてしまったのである。

毒々しく光を放つ赤軸メカニカルキーボードだ。ある日突然「ほ」からはじまる斜め一列の文字が打てなくなった。キーボードをぶん殴ってみると打てるようにはなったのだが、今度は一度押しただけで二つも三つも文字が打たれてしまう。殴られたことに対する反抗だろう。非情に腹立たしい。

キートップを全部外して、さらにはネジを外して分解し基盤をむき出しにしてやった。「ほ」の部分をマイナスドライバーでほじくり返しているうちに、どこかが折れたらしい。もう、修復不可能なのである。

調べてみると5,600円で買った製品で、メカニカルキーボードとしては安かった。ただ、メンブレン式のキーボードと比べると高いのである。最近では、2,000円程度で無線&テンキー付きのフルキーボードが買える。打ち心地も良く、結構気に入っていたのに残念だ。

まあ、キーボードはいくつも持っていて、今はキートップが丸い変な製品を使っている。多分、パンタグラフ式のキーボードだろう。MacやThinkPadのものと比べると落ちるのだが、まあまあの打ち心地である。

キートップが丸いのはあまり気にならない。基本的には、外出時用に買ったのだが、普段使いでも問題ない。ただ、女性が見れば「なんて可愛らしいキーボードなの!」といきなり抱きついてきてキスをされるのではないかと心配だ。

ちなみにMacのキーボードも久しぶりに接続してみたのだが、なかなかに打ち心地がいい。メカニカルキーボードよりも、こちらの方が私の好みなのかも知れない。何よりクオリティが他のキーボードよりも数段上である。美しいことこの上ない。いつも持ち歩きたいくらいの出来である。

ただ、小脇にMacのキーボードを抱えた私を見て、「なんて素敵なキーボードなの!」と女性がいきなり抱きついてきてキスをされるのではないかと心配なのである。

 

 

地獄の民主党時代再び!?

「次の政権を取ってほしい党ランキング」というのが発表されていて、いまだに「自民党に緊張感を持たせるため」「自民党よりましで、立憲民主党にはそれなりの経験があるから」「維新なら少しは日本も変わるのかなあとおもった」などという理由で、維新や立憲民主党をあげる人がいたんだそうだ。バカじゃないのか。

まあ、1位に選ばれたのは自民党でその点はホッとした。「自民党も相当酷いけど、それでも他の党が政権を取るよりはまだマシだろうから」という理由が多く、現実がしっかり見えている人が多いようで良かった良かった。

私は、その記事を読んで、今から14年前のことを思いだした。かつて民主党が政権を取った時のことである。

知り合いの男が私の事務所にやってきて、「わし、民主党に入れたんや」と自慢げに言ってきたのだ。

「自民党にお灸をすえたらなアカン。まあ、経験はないけど、民主党に一度やらせてみてもエエやろ」

「君は、バカかね?」と私は呆れながら言った。「景気がいいときなら、君の言うことも理解できる。今、日本は大変な時期なのだよ。君だって売り上げが落ちたと言っていたではないか」

「そやけど政権が変わらんと景気も上がらんやろ」

「君は、バカかね?」と私は再び言った。「なぜ、政権が変われば景気が上がるという設定なんだ? 下がる可能性を君は考えないのか?」

「いや、自民党でダメなんやから……」

「じゃあ、わかりやすく説明しよう。例えば、競合プレゼンの仕事が入ったとする。君の事務所は赤字続きで、その仕事を獲れるかどうかで明暗が分かれる。その仕事では写真が重要なポイントとなる。そんな時に君は、『この間営業に来たフリーのカメラマンに発注しよう』と判断するのかね?」

「いや、それはないと思うけど」

「そのカメラマンの実績も実力もわからない。しかも重要な競合プレゼンだ。そんな時に君は『ず~っと仕事を頼んでるカメラマンは、金額がちょっと高めやからなあ。そや、お灸をすえたろ』とか『実力は知らんけど、営業に来たあいつにやらせてみよか』と思うのかね?」

「いや、それはないと思うけど」

「君が民主党に入れたのは、それと同じことだ。左翼メディアは、当然民主党に政権を獲らせたい。だからテレビでもラジオでも盛んに『自民党にお灸をすえよう。民主党に一度やらせてみよう』と言っている。だが、日本の景気がどうなろうが、高給取りのマスコミ連中にはさして影響はない。苦しむのは庶民だけだ。だから平気で『一度やらせてみよう』と言えるんだ。君は、完全に洗脳されているのだ。君のようなバカな人間がオレオレ詐欺に引っかかるんだよ。恥を知りなさいっ」

「え~!? その言い方はちょっとひどいんちゃうか」

「ひどいのは、君の判断だ。見ていたまえ。君と同様、洗脳されている日本人は多い。今回は、おそらく民主党が政権を奪取するだろう。ばらまきに目がくらんでいるバカも多いからな。だが、そうなったとき日本はとんでもない事態になるぞ。景気は、今以上に落ち込むだろう。なにしろ彼らは、国を動かした経験がない連中だからな。得意なのは文句を言うことだけだ。日本をダメにする可能性の方が高い」

「えっ、ホンマかいな。これ以上景気が悪なったら、ワシの事務所つぶれてしまうがな。よし、今から投票を取り消しに行ってこよ。役所に行ったらええんかいな?」

私は、ため息をつきながら言った。

「何度か『君はバカかね?』と言ったが、あれは取り消させてもらおう。疑問形では、正しくない。君はバカだと私は断言する」

その後、地獄の民主党時代がはじまり、普天間問題でアメリカを呆れさせ、尖閣問題で中国を怒らせ、東日本大震災で原発復旧を菅総理がジャマしに出かけ、ラジオやテレビ局のアナウンサーは「民主党がこんなにひどいとは思わなかった」と言い訳し、当然のごとく景気はさらに落ち込んでいったのである。

彼の事務所は廃業になり、「餞別や」とグラフィック年鑑とかいう重たい本を10冊ほど置いていった。

「こんなものを置いておくと、運気が落ちそうだな」と私はつぶやき、すぐに古本屋を呼んで売り払ったのである。そのおかげか、私の事務所は地獄の民主党時代をなんとか乗り越え、細々とではあるが、まだ生き残っている。めでたしめでたし。

 

 

 

今や懐かしコロナ時代

コロナに感染したときは、驚いたなあ。私のような人畜無害の人間にも、コロナウイルスというヤカラは無遠慮に襲いかかるのだ。さすがは中国発のウイルスである。民度が低い。

ある日、突然、熱が出たのである。37.8℃である。平熱が36.3℃の私からすれば、極めて高熱。しかも喉が痛い。つばを飲み込むにも恐怖を感じる。ああ、つばがたまってきた。飲み込むか。いやいや、あの痛い思いをするのはもうご免だ。つばなど出なければいいのに。などと思いつつつばを飲み込んで、その猛烈な痛みに耐えるのである。

それもこれも前世はくまのプーさんだったプー近平の責任である。コロナが武漢で流行りだした頃、病院が不調を訴える患者たちで満員電車の押しくらマンジュウ状態になっているのにも関わらず、まるで規制しようとしなかった。それがコロナ時代を作り出した一番の要因なのだ。後になってゼロコロナとかで都市封鎖ばかりしていたようだが、あの習近平とかいうジジイは頭が悪いのかね。いつも眠たそうな顔をしているが認知症なのかもしれんな。

それまではコロナなど他人事だったから10万円に続いて100万円をもらえてありがたがっていたのだが、自分が感染すれば、話は別である。コロナは絶対反対。倒せ習近平。来るなら来い来い共産党。おい、そこのジジイ、マスクをせんかいっ。

まあ、38.8℃を山にして3日ほどで熱は下がり、喉の痛みも治まったのだが、3回ワクチンを打ってもこれだから、打っていなければどうなっていたことか。おそらく45℃まで熱が上がって脳の神経細胞がダメージを受けて、今頃こんな文章は書けていないにちがいない。

本来は熱が出た時点で病院に行くのがいいのだろうが、私は病院へ行くのが嫌いで、なぜかというと自分よりも上級階級の男が大嫌いなのである。さらには看護師の白衣に欲情してしまう性質を持っており、それを見透かした看護師に巨乳を腕に押しつけられて勃起し、「おやおや、まだお元気なんですね」などとイケメンの医者に嘲笑されたりしたら生きてはいけないのだ。コロナ程度で病院などに行ってたまるか。

そんなある日、仕事仲間から「どないしてる」と電話があった。「コロナに感染したよ」と伝えると、「意外と少ないなあ。あんたが直接知ってる感染者の第一号や」と言われた。「症状はどないや」と聞くので「単なる風邪だね」と私は答えたものだ。

ちなみにコロナウイルスの関連死者数は、令和5年の9月だけで5,235人だったそうだ。関連死とは言え、そこそこ死んでいるのである。交通事故死よりもはるかに高い確率だ。まだまだ油断はできないのだ。

「おいコラ、そこのジジイ。マスクをせんかい」と私はノーマスクでスーパーをうろつく高齢者に向かって心の中で叫んだ。