場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

地獄の民主党時代再び!?

「次の政権を取ってほしい党ランキング」というのが発表されていて、いまだに「自民党に緊張感を持たせるため」「自民党よりましで、立憲民主党にはそれなりの経験があるから」「維新なら少しは日本も変わるのかなあとおもった」などという理由で、維新や立憲民主党をあげる人がいたんだそうだ。バカじゃないのか。

まあ、1位に選ばれたのは自民党でその点はホッとした。「自民党も相当酷いけど、それでも他の党が政権を取るよりはまだマシだろうから」という理由が多く、現実がしっかり見えている人が多いようで良かった良かった。

私は、その記事を読んで、今から14年前のことを思いだした。かつて民主党が政権を取った時のことである。

知り合いの男が私の事務所にやってきて、「わし、民主党に入れたんや」と自慢げに言ってきたのだ。

「自民党にお灸をすえたらなアカン。まあ、経験はないけど、民主党に一度やらせてみてもエエやろ」

「君は、バカかね?」と私は呆れながら言った。「景気がいいときなら、君の言うことも理解できる。今、日本は大変な時期なのだよ。君だって売り上げが落ちたと言っていたではないか」

「そやけど政権が変わらんと景気も上がらんやろ」

「君は、バカかね?」と私は再び言った。「なぜ、政権が変われば景気が上がるという設定なんだ? 下がる可能性を君は考えないのか?」

「いや、自民党でダメなんやから……」

「じゃあ、わかりやすく説明しよう。例えば、競合プレゼンの仕事が入ったとする。君の事務所は赤字続きで、その仕事を獲れるかどうかで明暗が分かれる。その仕事では写真が重要なポイントとなる。そんな時に君は、『この間営業に来たフリーのカメラマンに発注しよう』と判断するのかね?」

「いや、それはないと思うけど」

「そのカメラマンの実績も実力もわからない。しかも重要な競合プレゼンだ。そんな時に君は『ず~っと仕事を頼んでるカメラマンは、金額がちょっと高めやからなあ。そや、お灸をすえたろ』とか『実力は知らんけど、営業に来たあいつにやらせてみよか』と思うのかね?」

「いや、それはないと思うけど」

「君が民主党に入れたのは、それと同じことだ。左翼メディアは、当然民主党に政権を獲らせたい。だからテレビでもラジオでも盛んに『自民党にお灸をすえよう。民主党に一度やらせてみよう』と言っている。だが、日本の景気がどうなろうが、高給取りのマスコミ連中にはさして影響はない。苦しむのは庶民だけだ。だから平気で『一度やらせてみよう』と言えるんだ。君は、完全に洗脳されているのだ。君のようなバカな人間がオレオレ詐欺に引っかかるんだよ。恥を知りなさいっ」

「え~!? その言い方はちょっとひどいんちゃうか」

「ひどいのは、君の判断だ。見ていたまえ。君と同様、洗脳されている日本人は多い。今回は、おそらく民主党が政権を奪取するだろう。ばらまきに目がくらんでいるバカも多いからな。だが、そうなったとき日本はとんでもない事態になるぞ。景気は、今以上に落ち込むだろう。なにしろ彼らは、国を動かした経験がない連中だからな。得意なのは文句を言うことだけだ。日本をダメにする可能性の方が高い」

「えっ、ホンマかいな。これ以上景気が悪なったら、ワシの事務所つぶれてしまうがな。よし、今から投票を取り消しに行ってこよ。役所に行ったらええんかいな?」

私は、ため息をつきながら言った。

「何度か『君はバカかね?』と言ったが、あれは取り消させてもらおう。疑問形では、正しくない。君はバカだと私は断言する」

その後、地獄の民主党時代がはじまり、普天間問題でアメリカを呆れさせ、尖閣問題で中国を怒らせ、東日本大震災で原発復旧を菅総理がジャマしに出かけ、ラジオやテレビ局のアナウンサーは「民主党がこんなにひどいとは思わなかった」と言い訳し、当然のごとく景気はさらに落ち込んでいったのである。

彼の事務所は廃業になり、「餞別や」とグラフィック年鑑とかいう重たい本を10冊ほど置いていった。

「こんなものを置いておくと、運気が落ちそうだな」と私はつぶやき、すぐに古本屋を呼んで売り払ったのである。そのおかげか、私の事務所は地獄の民主党時代をなんとか乗り越え、細々とではあるが、まだ生き残っている。めでたしめでたし。