場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のちょっと情けない死ぬ前にやることリスト。

ああ、今日も一日が過ぎようとしている。

皆さん、ご存知か。一日が過ぎるということは、一日分死に近づくと言うことなのだ。人間はみな平等とは思わないが、少なくとも死に関してだけは平等である。畏れ多くも天皇陛下と言えども必ず死ぬ。ゴキブリ並みにしぶとそうな辻元清美さんだっていずれは死ぬのである。良かった。万歳!

で、私も死ぬ。当たり前のことである。極めて高血圧だから、わりと早めに死ぬのではないか。太ってもいないのに、なぜ高血圧なのか。スラッとしていると言われたこともあるのだぞ。太ってるくせに私よりも血圧が低い知り合いのオッサンが腹立たしい。どうか、彼を先に死なせてください、といつも神様にお願いしているのである。

さて、死ぬまでにやりたいことリストというのが、たまに映画やドラマでも出てくる。私の印象に残っているのは「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」という映画である。 私が大好きなルトガー・ハウアーが少しだけ出ているので見たのだが、いや、予想外にいい映画だった。

病院でもうじき死ぬと診断された二人の若者が、酒を飲みながらだべっている。

「実はおれ、海を見たことないんだ」「えーっ、そりゃあダメだ。天国では海の話をするのが流行ってるんだぜ。お前、仲間外れだな」「なんてこった」「じゃあ、死ぬ前に海を見に行くか」と車を盗んで海を見に行く話である。で、その車にはマフィアの金が積まれていて、という展開だ。

彼らが死ぬ前に叶えたい夢を話し合ったときに出たのが「二人の女とやる」という何とも笑える夢だった。二人のキャラクターは、ヤンチャ系とオタク系という正反対の設定で、もちろんそれはオタク系の夢である。

「情けないやつだな」と笑いながらも、私はふと思ったのだ。

いや、待てよ。私だって二人の女とやったことはないぞ。私には、彼を笑う資格はないな。

考えているうちに、「うーん、二人の女か。一人をこうして、もう一人をこうかな。しかし、チンコは一本だしなあ。一人に入れているときに、もう一人は寂しいのではないか」などと考え、「よし、キュウリを腰に付けて、二人同時に相手をしよう。いやいや、私の巨根に合わせるならキュウリよりもヘチマだな」などと考え、全裸の腰にヘチマを付けている光景を想像してわははははと笑ったのである。

ちなみに実行する場合に備えて、金額も確かめた。何事もしっかりとシミュレーションするのが私の流儀である。もちろん私は二人の女を相手にするような趣味はないのだが、いつどうなるかはわからない。備えあれば憂いなし。浅い川も深く渡れ。英語で言えばbetter safe than sorryである。

調べてみると二人相手だと75分18,000円~などと出ていて、いくらなんでも安すぎるのではないか。きっと一人はスキンヘッドの怖い顔をしたオッサンで「ワシが見てたる。当店の3P特別サービスや。見られてたら、めちゃ、興奮するでぇ」などと言うに決まっているのだ。

とりあえず三万円以上の店を選ぼう、と私は思ったのである。