場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

壇蜜さんの唇に罪はない

私は、性欲が少ないことで知られた男だ。風俗に誘われても、いつも「クレオパトラ似の妻に嫌われたくないからな」と断っていた。

別に女嫌いというわけではなく、例えば壇蜜さんなどは好きである。なかなか色っぽい女性だと思う。

以前、彼女が宮城県のPR動画に出ていたことがあって、彼女自体は魅力的に撮れていた。実は、動画はダウンロードして、私のパソコン内に永久保存されている。

ただ、残念ながら作品としての出来は、非常に稚拙であった。むかし流行ったヘタウマではなく、どこから見てもヘタとしか言いようのない出来だったのだ。

ある日、そんなPR動画に批判が集まった。

壇蜜さんの唇が度々クローズアップされるなどの演出が、性的表現を連想させると批判されていた」と記事にはあるのだが、私は、それを読んで怒り心頭に発したのである。

なんじゃあ、こらあ。それではまるで壇蜜さんの唇が悪いみたいやんけ~っ。

実は、もっと露骨な性的な表現があったのである。それが書きにくいから、壇蜜さんの唇に罪をなすりつけたのだ。明らかに冤罪である。

私が、正確に記事を書いてやろうと思う。いいかね、諸君。心して読みたまえ。

「動画には亀が登場するのだが、その首をチンポに見立て、壇蜜さんに触られて勃起させる演出が、性的表現を連想させると批判されていた」

これが正しい記事の書き方である。壇蜜さんの唇よりもはるかに性的であることは、誰が見ても明らかなのだ。

まあ、チンポという表記はちょっとあからさまだから、チンコ、いや、オチンチン、うーん、ペニスというのは違和感があるな。男根ではむかしのエロ小説みたいだし、男性器ではリアリティに欠ける。おチンポ様……いやいや、さすがにそれはおかしいな。面倒だな、チンポでいいや。

ちなみに批判を浴びて、当初、宮城県の知事は、「可もなく不可もなくというものは関心を呼ばない。賛否両論あることは逆に成功につながっている」と言っていた。だが、結局、女性県議らの嫉妬混じりの批判に負けてしまったようである。宮城県は、配信を取りやめたのだ。

まあ、「賛否両論は成功」などというセリフは無能な広告代理店がよく使う言い訳であって、それを真に受けて言ってしまったあたり、知事の無能ぶりも露呈してしまったわけである。お気の毒に。

久しぶりに動画を見たのだが、やはり壇蜜さんが亀の頭をなでて、安っぽい効果音と共に亀の頭が巨大化する部分は、何度見てもいやらしい。稚拙だからこそ、その卑猥さがダイレクトに伝わってくる。便所の落書きと同じだ。

私が演出家なら、巨大化した後に壇蜜さんに恥ずかしそうな表情をさせる。絶対にさせる。巨大化した亀の頭を見て、頬を赤らめ、唇が半開きになるのだ。だが、残念ながらそんなシーンはなかった。亀の頭が勃起してすぐに、次のシーンに移ったのである。

ああ、悔しくて仕方がない。私にシナリオを書かせんかい、と私は強く思ったのである。