場末の映画館

昔は、映画館が小便臭かったもんだがなあ。

宇宙戦艦ヤマトみたいな映画を見た

つまらない映画を見て、「つまらない映画を見た」と書くことほどつまらないことはない。Amazonの★ひとつのコメントなどは、そういうつまらない文章の集積場であり、私は、決してそんな文章は書くまいと自戒している。

だが、あなた。なぜかつまらない映画を見たときは、「つまらない映画を見た」と書きたくなるのである。でかいウンコをした際に、「でかいウンコが出た」と誰かに見せたくなるのと同じ現象ではないかと私は推察している。

さて、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を見た。ふたつの要素により、私は映画に集中できなかった。ものすごくハードルを下げて見たために、さほどがっかりはしなかったのだが、そのふたつの要素は、私の「映画を楽しもう」という意思を阻害し続けたのである。

①ユニフォームがダサい

白地に赤の矢印って、あなたね、中学生じゃないんだから。確かに漫画やアニメならいいですよ。それなりに様になる。しかし、実写版で見ると間抜けである。ユニフォームは常に出てくるんだから、今の眼で見て格好良くしてくれないと気になってしかたがないのである。ストーリーも変えてるんだから、ユニフォームくらい原作と変えてもいいのではないか。まあ、変えれば変えたで「なぜ、変えたんだ。あのユニフォームがヤマトでしょうが~っ」と腹を立てたのかも知れないが。

②敬礼が多すぎる

胸に手を当てる敬礼は、あまり格好が良くない。ちょっと子供っぽいのである。しかも、頻繁にこの敬礼シーンが出てくる。敵地での命の危険があるような状態でも、味方の死体に向かって敬礼するのである。戦争をしているという自覚に欠けているのではないか。だから、自己犠牲による感動のラストシーンでも「ああ、また敬礼やってるよ」とつい思ってしまった。ちなみに自己犠牲も多すぎる。それぞれ見せ場を作りすぎたために、逆に印象に残りづらくなっている。「インデペンデンスデイ」のアル中の爺さんのように、自己犠牲は一人で十分なのだ。

あと戦闘中にやたら叫んだり悲鳴を上げたりしている点や、漫画ではハゲの佐渡先生が美人のオバさんになっていたり、アナライザーがやたら強かったり、森雪が意地悪そうな顔になっていたり、ガミラス人がスタートレックに出てきた異星人みたいになっていたり、まあ、いくつかの疑問点はあるのだが、そこまで書き出すとキリがない。大目に見よう。

私はテレビの「宇宙戦艦ヤマト」をリアルタイムで見て、映画館にも足を運んだのだが、その意味では「私もヤマトも遠くまできたものだ」と感慨深いのである。

一つ残念なのは、アニメ版での沖田艦長の名シーン「馬鹿めと言ってやれ。馬鹿め、だ!」というセリフがなかったことだ。山崎努の声でも十分に再生可能だから、勝手にシーンを作って頭の中で再上映したのだが、いやあ、素晴らしい。皆さんもやってみてはどうか。